豆太郎の挑戦 日本の農業と田舎の田園風景を守りたい!
夏の大豆畑でヤマキ醸造のスタッフも除草をお手伝い(2020年8月)私たちの製品はなんといっても原料が大切です。
安心安全な農法で栽培された美味しい国産原料がなければ製品を造ることができません。
国産大豆の価格高騰も問題ではありますが、私たちは今、もっと根本的な問題に直面しています。
生産者の高齢化と、後継者がいないため広がる離農問題です。
これまでも有機栽培・特別栽培生産者の普及に務めてきましたが、離農問題はここ数年国内各地で急速に広がりを見せており、私たちの契約生産者においても例外ではありません。
また、離農により長年管理されていた田畑が荒地に変わり、日本の田園風景が失われていく問題も各地でみられています。
私たちの工場のある埼玉県・群馬県でも少しずつそういった土地が増えてきました。
おいしい国産原料を求める声が高まる一方、国内の生産量が減少してゆく現状や、国産の有機栽培・特別栽培原料で製品を
造り続けることが益々難しくなってくる将来に向けて何とかしなければならないと、私たちの大きな挑戦が始まりました。
豆太郎では地元でも有機大豆の生産を増やし、離農により土地が荒れて使えなくなる前に有機農業に転換して利用・管理していくことが必要だと考えました。そしてやりがいのある有機農業の魅力を知ってもらい、原料を継続して製品に使用することで希望を持って就農する仲間を増やすことが、微力ながら日本の有機農業の推進に繋がるはずだと考えました。
2018年から車で通える近隣の県も含めて広い範囲で農地を探す中、2020年にようやく神川町からそう遠くない群馬県高崎市で使われていない農地の中でも大豆・小麦の栽培に適性のある農地に巡り合うことができました。群馬県高崎市は上毛三山に代表される赤城山・榛名山・妙義山に囲まれた盆地で日当たりもよく夏は暑く冬は上州名物のからっ風が吹きぐっと寒くなります。山から流れ出る豊かな水源にも恵まれている土地です。
周辺にはまだ有機大豆の生産者が少なく、「本当にそんなことができるのか?」と土地の地主さんからは当初なかなか
理解してもらえませんでしたが、近くで遊ぶ子供達への安全面から農薬を使用しないことは歓迎されました。最終的には皆さんのご理解を得られ、新しい土地で農薬・化学肥料・除草剤を使わない農法で大豆・小麦の栽培がはじまりました。まずは大豆の種がまける状態にまで土を耕作する必要がありました。
右:雑草を根気強く耕作した甲斐あり元気に成長する大豆(2020年8月)
一度荒れた土地には雑草が生い茂げり、除草・耕作からはじめました。雑草が生え放題で背丈まであるような土地は、何度耕しても1週間もするとまた雑草が生えてくるので通常の何倍もの労力をかけ耕作を繰り返しました。そうしないとせっかく大豆の種を撒いても雑草に負けてしまうのです。また、今まで管理されていなかったため、畑の中に大きな石が入っており、機械が故障してしまうというトラブルもありましたが、大豆の種撒きまでの限られた時間に何度も耕して大豆が芽を出せるような状態にまでもっていくことができました。
予定よりも1 ヶ月も遅れての種まきとなり、心配もありましたが秋には見事に身を実らせた大豆の初収穫をすることができました。そして、次は小麦へと…いつかこの土地の大豆や小麦が製品になり皆様の食卓へお届けできる日を楽しみに豆太郎の挑戦は続きます。
はじめての土地で収穫した宝物のような大豆(2020年11月)